映画鑑賞「下町(ダウンタウン)」

『下町(ダウンタウン)』(1957)


戦争が終わって4年後の春の事です
お茶の行商をしている女が、下町の川縁にある小屋で弁当を食べる場所を貸してくれるよう頼むと
住み込んでいた人足風の男は親切に暖をとるよう勧めてくれ、自分も飯を食べ始めるのでした
女はシベリアから戻らない亭主を待ちながら、まだ小さい男の子を育てている身。東京に出てきて水商売の置屋に間借りをしている身の上
男は戦争から帰れたものの住むに家なく、人足仕事と引き換えに小屋に住まわせてもらう身の上

詫びしい二人はいつしか互いを待ち遠しく思い始め
やがて女の子供も馴染み
言葉には出さない愛情が育まれてゆくのでした
東宝が昭和30年代に制作した中編作品を(ダイヤモンドシリーズ)と呼んだそうで
これはそのシリーズでも特に有名な一作です

まだ日本全体が貧しかった時代に、寄り添う事の悦びと、その悦びを選んでしまった故の悲しみに打ちのめされる庶民の姿を見つめた

大事な日本映画です

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